文京混声合唱団第17回定期演奏会

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第17回定期演奏会

	昭和５７年（1982）6月13日（日）Ｐ．Ｍ．2：00 東京文化会館小ホール
	Love Sounds Series-5 　高田三郎「心の四季」　ヘンデル「メサイア」より
	指揮　鈴木哲雄　ピアノ　小島好弘　オルガン　高橋民江

　　私たちの演奏活動は、団員の指揮者、そして各団員の自主性にその基礎をおいており、このことは私たちの合唱団の大きな特徴であると思っております。先輩達の残してくれた素晴らしい音楽を受け継ぎ、今後とも息の長い合唱活動を続けていきたいと思っております。
　　ープログラムよりー

STAGE　Ⅰ　Love　Sounds　Series-５　　　　　　　　　　Scarborough （スカボロー・フェア）　　　　　　　　　　　　　　　　　　　P．Simon，A．Garfunkel詞・曲　久石譲・編曲　　　　　　　　　　The Way We Were　（追憶）　　　　　　　　　　　　　A&M Bergman　詞　M.Hamlisch　曲　小野崎孝輔　編曲　　　　　　　　　　Try to Remember （トライ・トゥ・リメンバー）　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 T．Jones詞　H．Schmidt曲　久石譲・編曲　　　　　　　　　　Aquarius　（アクエリアス）　　　　　　　　　　　　　　　J．Rad、G．Rangi 詞　G．Macdermot 曲　久石譲　編曲　　　　　　　　　　　The Shadow of Your Smile　(いそしぎ) 　　　　　　　　　　　　　　　　P．F．Webster 詞　J．Mandel 曲　小野崎孝輔　編曲　　　　　　　　　　　Grace (グレース) 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　American．Traditional 　O．Skillings 編曲　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　指揮　鈴木哲雄
STAGE　Ⅱ　混声合唱組曲「心の四季」　　　　　　　　　　　　　　　　　　風が　　　　　　　　　みずすまし　　　　　　　　　　流れ　　　　　　　　　山が　　　　　　　　　愛そして風　　　　　　　　　雪の日に　　　　　　　　　真昼の星　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　―　休　憩　―	吉野　弘　作詞高田三郎　作曲指揮　鈴木哲雄ピアノ　小島好弘
STAGE　Ⅲ ＭESSIAH　（救世主）より　　　　　　　　　　　　　　　　　　　Georg Friedrich Händel (1685～1759) 　　　　　　　　　　　　　　Part Ⅰ 　　　　　　　No.12 For unto us a child is born 　　　　　　　　　　　　　　　　　　 (神のひとり子を) 　　　　　　　No.16 And suddenly there was with the angel　　　　　　　　　　　　　　　（たちまちみ使いたち現れ）　　　　　　　No.17 Glory to God 　　　　　　　　　　　　　（天にはさかえ神にあれ）　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　PartⅡ 　　　　　　　No.22 Behold the Lamb of God 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（世の罪をば除きたもう) 　　　　　　　No.24 Surely He bath bone our griefs 　　　　　　　　　　　　　　　(主なる彼は負いませり) 　　　　　　　　No.25 And with His stripes we are heald 　　　　　　　　　　　　　　　　　（われらは癒えたり）　　　　　　　　Ｎｏ.26 All welike sheep have gone astray 　　　　　　　　　　　　　　　　　(迷える羊となり果て) 　　　　　　　　No.37 The Lord gave the word 　　　　　　　　　　　　　　　　（主の言葉をのべ伝うる人々）　　　　　　　　No.44 Hallelujah!　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　(ハレルヤ) 　　　　　　　　　　　　　　　　ＰａｒｔⅢ 　　　　　　　　No．53　Worthy is the Lamb the was slain 　　　　　　　　　　　　　　　　　　（われらをば血もて）　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　指揮　鈴木哲雄　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　オルガン　高橋民江

Ｌｏｖｅ Sounds Series

　　私たちが日常生活の中で、テレビやラジオ、レコードなどを通じて気軽に楽しんでいる音楽の中で、合唱団によって演奏されることによっても、その魅力が損なわれることなく、むしろそのことによって新しい魅力が生まれるのではないか、と思われる曲を選んで歌い続けてきました”Love Sounds Series”も５回目となりました。親しみやすい旋律、その歌詞も身近な内容のものであることが多いのがこうした音楽の身の上で、それだけに演奏に際しても、詩文たちの気持ちの高揚をよりストレートに声に乗せることができるのではないかと考え、今後も継続していきたいと思っております。それは声という、いわば最も素朴で直接的な音源によって演奏される合唱にあっては、団員の一人ひとりが、演奏する音楽により深い共感を抱いているということが、その演奏に精彩を与える大きな力になると思うからです。
　今回は、特に映画音楽を中心として、よく知られている曲を選んだのですが、合唱音楽の中では少数派（？）に属する英語の歌詞のためか、その発音とイントネーション、それにアフター・ビートのリズムにのって歌うことに苦労しました。
楽しんでいただけるものと思います。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

　混声合唱組曲心の四季　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　高田三郎　作曲

　邦人作品は数あるレパートリーの中でも、量・質ともに最も充実して、しかも大切な分野の一つであると思います。私たちも、これまでの演奏会のプレグラムの中に欠かすことのできないものとして、いろいろな邦人作品に親しみ、味わってきましたが、中でも高田三郎先生の作品の魅力は、歌うにつれてより一層惹きつけられるものがあり、これまでにも数多くの作品に接してきました。
今回演奏する｢心の四季」は、スゲに「水のいのち」と並んでスタンダード・ナンバーと成っていく曲でありますが、私たちにとっては始めての機会であり、それだけに新鮮が気持ちでその音楽と詩の世界に触れることができたのではあいかと思っております。
　四季の移り変わりと、そのなかでさまざまに表情を変えながら、見事な美しさを見える自然に恵まれて、私たちの祖先は、まったく独自な自然観を生み育んできました。季節とともに微妙に添加する自然の姿を捉え、それを繊細な感覚で味わい、されにそこに己の精神の投影を見る、という美意識は、これだでにも数々の芸術作品を生み出す大きな背景としてあり、現在の私たちにもそれは具わっているのだと思います。
　「風」「みずすまし」「流れ」「山が」「愛そして風」「雪の日に」「真昼の星」の各章を通じて私達は、人が生きることの悲しさやはかなさ、希望と憧れなど、そして、それらすべてを包みこむ大きな慰藉である自然、というものを感じるわけですが、今日の演奏でも、そういうものを歌い上げたいと、思っております。
　

　オラトリオメサイヤ　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヘンデル　作曲

　　この作品は、メサイヤ、すなわち主イエス・キリストの誕生から受難及び復活の物語、そして、救世主のイエスをこの世に賜った全能の父なる神への感謝とその栄光を讃える、という内容が聖書のことばによって歌われています。

私たちにとってこれは、合唱音楽の宝庫ともいうべき、ヨーロッパ教会音楽が、その精神的支柱としてもっている宗教的感情を、いわばその原点において直接触れることができる機会でありました。
私たちが今後もキリスト教教会音楽を歌っていくのだとすれば、こういう機会を持つことは大きな意味のあることではなかったか、と思います。

　物語の進行にしたがって、力強いホモフォニーと幾層にも重なって流れるポリフォニー、なだらかな弧を描く旋律線と細やかなコロラトゥーラ、慟哭にも似た悲痛な気分と祝祭的な華やかさ、など、さまざまな作曲技法を駆使して書かれたこの作品を歌うことで、私たちはしだいに劇的緊張を増していく”オラトリオ”の素晴らしさに触れることが出来たのはないかと思います。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（プログラムより抜粋）　　全文はこちら

歌詞大意

第１部　救世主の出現の予言とその成就
No.12 （イザヤ書：６）
　神のひとり子を我ら賜りぬ　神のひとり子を我ら今や受く、政治主の肩にありき　聖きその名は”妙に奇しき力ある永遠の父、平和の君”

No.16（ルカ：13）
　たちまち御使いたちあらわれ　御神をほめたたえぬ

第２部　救世主の受難・復活・昇天・復音の伝播
No.22(ヨハネ：29)
　世の罪をば除きたもう神の子羊　仰ぎ見よ

No.24（イザヤ：4,5）
　主なる彼は負いませり罪と憂い、彼は世ひとの咎のために傷つけられたまいて　世ひとに真の賜えり

No.25(イザヤ：5)
　われは癒えたり　打たれたまいし傷によりて

No.26（イザヤ：6）
　迷える羊となり果て　選べり自己の好む道を我らは迷えり　選べり我とわが道
かかる我らをなお主は顕みたまえり

No.37(詩篇：11)
　主の言葉のべ伝うる人々　うち群がり集えり

No.44（黙示録：6、15、16）
　ハレルヤ！全能の主　治めたまわん　世の国民今や我らの主に帰するに及べり　とわに主おさめたまわん　主の主　諸王の王　ハレルヤ！

第３部　信者の復活の約束の救世主の即位
No.53（黙示録：12.13）
　われらをば血もて買いたまいし子羊に帰りまつれ　栄え　名誉　富　権能　知識　誉れ　賛美と名誉と権能と富と知識　御座にざしたもう子羊にあれ　永遠にあれかし！アーメン

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全文

　オラトリオメサイヤ　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヘンデル　作曲

　私たちの合唱団では、これまで選曲の大きな柱として、邦人作品、ポピュラー音楽、そして教会音楽を中心に演奏会尾プログラムを組み立ててきました。このうちの教会音楽についても幅広く取り組みたいという意向から、ビクトリア、パレストリーナ、シャルパンティエ、モーツァルト、フォーレ、ブノーなどのミサ曲及びレクイエムなどを研究してきましたが、今回初めてヘンデルの作品を取り上げました。
　「メサイヤ」は、あまねく知れわたった名曲であり、とえばあの「ハレルヤ・コーラス」などは、誰もが一度は耳にしていることと思います。また、合唱団にとっては、その大きなスケールからも、充実した音楽的ないようからも、一度は挑戦してみたいと思わずにはいられない魅力と風格を具えた作品です。

　　この作品は、メサイヤ、すなわち主イエス・キリストの誕生から受難及び復活の物語、そして、救世主のイエスをこの世に賜った全能の父なる神への感謝とその栄光を讃える、という内容が聖書のことばによって歌われています。

私たちにとってこれは、合唱音楽の宝庫ともいうべき、ヨーロッパ教会音楽が、その精神的支柱としてもっている宗教的感情を、いわばその原点において直接触れることができる機会でありました。
たとえ私たちがキリスト教徒ではないとしても、今後もキリスト教教会音楽を歌っていくのだとすれば、こういう機会を持つことは大きな意味のあることではなかったか、と思います。
　私たちがこの作品を歌うにあたって、留意したのは、以上のことの他に、この作品が「オラトリオ」である、ということです。当時、演技をともなわないオペラといわれたという”オラトリオ”という形式は私たちにとって初めてのものであり、たとえばミサ曲などをうたうのとは多少違って、よりドラマチックな音楽である。ということです。
物語の進行にしたがって、音楽はさまざまに表情を変えていきます。
力強いホモフォニーと幾層にも重なって流れるポリフォニー、なだらかな弧を描く旋律線と細やかなコロラトゥーラ、慟哭にも似た悲痛な気分と祝祭的な華やかさ、など、さまざまな作曲技法を駆使して書かれたこの作品を歌うことで、私たちはこうした、いろいろなスタイルで書かれた曲を歌う楽しさや、次第に劇的緊張を増していく音楽の中で初めて歌った”オラトリオ”の素晴らしさに触れることが出来たのはないかと思います。
　今回は、残念ながら前５３曲の中の語句一部のみの抜粋の演奏ですが、いつか全曲に挑戦してみたいと思います。
　

Love Sounds Series-5 高田三郎「心の四季」 ヘンデル「メサイア」より

　Love Sounds Series-5
　高田三郎「心の四季」
　ヘンデル「メサイア」より